REPORT特集

小川由廣を探して街歩き【05. 諏訪町石不動(不動明王)】

2026.05.25


「05.諏訪町石不動(不動明王)
 




 見過ごしそうな小さな入口と、奥に伸びる境内。覗き込むと、出雲崎のアナゴの浜焼きみたいな、俱利伽羅竜王剣(くりからりゅうおうけん)を中心とした俱利伽羅不動三尊が祀られている。向かって左が制多迦童子(せいたかどうじ)。右が矜羯羅童子(こんがらどうじ)だ。
 倶利迦羅竜王剣は、不動明王の右手の利剣に、左手に持つ縄が炎の龍と化し、巻き付いた姿と言われている。不動明王を表すものとされてはいるが、あえて不動明王でなく、ここまで大きな俱利伽羅竜王剣を作り上げるとは驚きだ。もしかすると、石彫刻の倶利伽羅竜王剣では、日本で最も大きなものになるかもしれない。




 大正10年に奉納されていた矜羯羅童子と制多迦童子。その30年後に、メインの俱利伽羅龍王剣を建立し、不動三尊を完結させている。銘にあえて「由廣之作72歳」と刻んだのは、自身の彫刻師としての完結を示唆している様に思えてならない。




 境内の片隅に、地震で倒壊した由廣作の鳥居の扁額が残されていた。大正10年に、二体の童子と共に奉納されたと推測できる。これも貴重な作品の名残である。





 

この記事を書いた人

春口敏栄


エッセイスト 春口敏栄はるぐちとしえ

1961年(昭和36)柏崎市生まれ

地元新聞誌上で2017年より「呑んべぃ親父の独り言」シリーズのコラムを連載中。地元FM局では同シリーズの番組を担当。親しみやすい内容は幅広い年齢層の方々に支持されている。

郷土の歴史に愛着を感じ、さまざまな分野の調査、研究を進めており、講演の依頼も多数。彫刻師 小川由廣の研究では第一人者。小川由廣に関する著書を出版。講演会、市民大学講座、個展等も予定されている。

「呑んべぃ親父の独り言」(2022年10月発行)、「続 呑んべぃ親父の独り言」(2024年5月発行)、「彫刻師 小川由廣を探して」(2024年1月発行)、「小川由廣のライオンたち」(2024年11月発行)

*柏崎市内の尚文館書店、文化書院、柏崎市役所売店の他、上越市の春陽館書店(本町4-1-18)でも販売中。